もっと知りたい大腸がん 

☆☆☆ 2008年3月5日(水)☆☆☆ 
    
 福井大学医学部 第一外科 山口明夫教授

『その予防と早期発見、診断から治療まで』

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大腸にできるがんは年々増加の一途をたどり、大腸がんで亡くなられる人が年間4万人をこえ、その死亡数は肺がん、胃がんについで3番目となっています。特に女性に限りますと死亡原因の第1位となって、2015年には全体でも第1位になると予測されています。食生活の欧米化により、動物性脂肪やたんぱく質が過剰に摂取され、大腸癌が発生しやすくなってきました。また大腸がんを抑制することが知られている食物繊維や野菜などの摂取不足や運動不足も原因の一つといわれています。生活習慣の改善による予防や検診などによる早期発見が大腸がんの死亡数を減らす最も有効な方法であり、この講演で大腸がんのことをもっと理解していただきたいと思っております。

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大腸がんとはどんな病気?その予防はどうするの?
 大腸がんは比較的ゆっくりと大きくなることが多く、同じ消化器のがんのなかでも、胃がんや膵臓がんに比べて、悪性度が低く、予後も良好であり、集団検診に向いているといわれています。反面肝臓への転移が見られることも多く、いかに早く見つけられるかが重要となります。大腸がんのほとんどは遺伝することはありませんが、ごく一部には親から子に遺伝して発症することがあります。また以前に大腸ポリープやがんにかかった人や、大腸がんにかかった家族を持つ人は、大腸がんに罹患する可能性が高いといわれています。
 大腸がんの発生には遺伝的要素よりも、環境因子や生活習慣などが大きく関与しています。その生活習慣のなかで最も大きいのが食生活で、特に動物性脂肪の取りすぎが腸内の胆汁酸代謝の異常や腸内細菌の変化を生じ、大腸がんを増加させます。一方食物繊維が腸管内の便停滞時間を短縮したり、腸内細菌を変化させ大腸がんを減らすともいわれていますが、明らかな証拠はないようです。いずれにしてもがんの一次予防として脂肪の多い食事を避け、多くの繊維質や適量のビタミンをとり、バランスの取れた変化のある食生活で肥満にならないようにすることが大事です。また最近適度な運動が結腸がんを減少させることがわかってきましたので、これらの生活習慣の改善によって、大腸がんを予防していただきたいと思います。

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大腸がんは決して治らない病気ではなく、多くの方は適切な治療によって治すことができます。従って早期に発見して、早期に治療を受けることが重要で、その意味でも大腸集検の必要性が強調されるわけです。さらにそれにもまして生活習慣の改善によるがんの予防が重要で、大腸がん撲滅に向けて、みずからの健康は自分で守るという気持ちを持っていただきたいと思います。

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