米山奨学生 楊超雲君卓話

楊君 0710030012

☆☆☆☆☆ 10月3日(水)☆☆☆☆☆

雲南省の観光への取り組み
楊超雲
皆さん、こんにちは、二年目のお世話になります楊と申します、去る一年間、皆様の温かいご支援のおかけで、順調に研究を取り組むことができました、有難うございました。また、これからも、温かく見守って下さいますよう心からお願い申し上げます。
さて、きょうの卓話は雲南省の今日の観光への取り組みを皆様と一緒に考えたいと思います。観光産業による地域振興の成功例は日本にも良く話題になりますが、しかし、雲南省と日本の根本的な違いは、近代的な工業の発展段階は未だ達成していないということです。果たして、“観光だけ”の地域振興は可能なのか、問題を提起し、皆様のご知恵を借りたいと思います。
雲南省が観光地として、いちおうの発展を成しとけました理由は主に2つあります。1つ目は少数民族の存在です。56の民族が同居する多民族国家中国において、雲南省は民族の宝庫といわれるほど、少数民族が多い省であります。少数民族(人口5000人以上が要件)はイ、ぺー、ハニ、タイ、ミャオなど計25の民族(民族として認められず「××人」と呼ばれる集団は除く)があり、そのうち雲南にしかいない民族が15、ミャンマー、ラオス、ベトナムなどの国にまたがっている民族が15あります。また、19の民族はアミニズム、上座部仏教あるいは先祖信仰があり、各民族はそれぞれ独自の祭りを持っています。
タイ族の水かけ祭、イ族のたいまつ祭、私のペー族の3月祭など、ほかの民族も一緒に祝う祭りは観光客が集まる魅力的なイベントになっています。ナシ族のトンパ教の儀式で行われていたトンパ舞や、いまでも現役の象形文字であるトンパ文字書道の実演といった、非日常的な風景に心を引かれる人は非常に多いです。毎年、国家観光局と雲南省政府の共催による昆明国際観光祭が少数民族文化の大パレードだったように、雲南省では少数民族文化が観光資源の中心になっています。
2つ目の理由は、雲南省は非常に変化に富んだ地形を持ち、それに従い気候も様々なものとなっていることをあげられます。これは、前回の卓話にも少々取り上げましたので、ここで、省略したいと思います。現在、これらを観光資源として、中国国内での「観光大省」としての地位を保っています。中国政府が1982年から始めた「国家重点風景名勝区」の認定制度には、当初、雲南省からは下記の10地区が風景名勝区として選ばれました。
路南石林(1982年)、大理(1982年)、 シーサンパンナ (1982年)、 昆明滇池(1988年)、 麗江玉龍雪山(1988年)、 三江併流(1988年)、 騰冲火山地熱(1994年)、 瑞麗江大盁江(1994年)、 建水(1994年)、 九郷(1994年) (カッコ内は認定年)。
雲南省では中国の改革開放政策以降、『一中心、三線、四地、五区、六大産品』を目標に掲げ、観光業の開発に取り組んできました。
『一中心』とは昆明市のことで、省都として交通の便もよく、1年を通して気候も温暖で、雲南観光の中心的な存在、出発点となっています。
『三線』とは「昆明~石林」ルート、「昆明~大理~麗江~シャングリラ」ルート、「昆明~シーサンパンナ」ルートの3つの観光ルートを指します。「昆明~石林」ルートは奇岩や鍾乳洞などの変わった風景を、「昆明~大理~麗江~シャングリラ」ルートは高原や火山地帯の風景や少数民族風情を、「昆明~シーサンパンナ」ルートは熱帯雨林地帯の風景や仏教文化、中国辺境地区としての文化を、それぞれの特色としています。
『四地』とは、雲南観光の中心昆明の他の4つの観光衛星都市のことを指します。大理、麗江、景洪、潞西がこれに当たります。
『五区』とは雲南省を5つの観光地区に分けたもので、中心の「昆明」地区、西北の「大理、麗江」地区、西の「保山、瑞麗」地区、南の「景洪」地区、東の「建水、羅平」地区に分けられます。
『六大産品』とは、雲南省の6つの観光形態のことをいいます。雲南省の独特な風景を中心とした「風景観光旅行」、休暇村での避暑を中心とした「レジャーランド観光旅行」、少数民族の文化に触れる「民族風情観光旅行」、玉龍雪山などの「高山雪山観光旅行」、動物王国、植物王国としての「生態観光旅行」、博覧会や東南アジアとの接点としての「視察観光旅行」に分けられます。
そして、「観光大省」建設を推進するため、主に2つの取り込みがあります。1つ目は、空港や高速道路、鉄道などのインフラ整備です(勿論、インフラの整備はただ観光のためではありません、しかし、雲南省の近代工業がいつ経っても立ち遅れでいるため、結果として、観光のための専用道路のようになってしまいました、政府の宣伝も観光のためのインフラ整備だと住民に説明するようになりました)。90年代以降、多国間辺境貿易が活発化するにつれ、メコン川総合開発構想が浮上し、中国、ラオス、ミャンマー、タイの4カ国間で「瀾滄江-メコン川水運協定」が結ばれ、瀾滄江-メコン川航路が正式に開通する運びとなりました。このほか、航空路ではバンコクやハノイなど東南アジア路線以外に大阪、ソウルなどの直行便もあります(あまり知らされていないようですが、昆明空港は実に上海浦東、北京首都、広州白雲につき中国の4番目大きい国際空港です)。高速道路も既に周辺諸国の国境まで建設されました。まだ、高速道路と平行に(将来的に)国際鉄道も急速に整備されつつであります。
2番目の取り込みは、いわゆる「文化産業」への努力です。雲南省は、豊富な文化資源に恵まれていることから、文化産業発展に関連する政策を制定し、それらの発展をスムーズに進めるため、税金、土地及び人材などの面で便宜を図っています。しかし、果たして、文化というのは、ひとつの「産業」として 「発展」 を図ることが良いのかについては、率直私は判りません。況して、政府が打ち出した「文化産業」振興策というのは実際のところ、観光促進策なのです。つまり、観光客に見せるための「文化」なのです。
当然ながら観光産業による地域振興は諸刃の剣であって、少数民族のライフスタイルが俗化し、祭りのリアリティが薄くなると、観光資源としての魅力を失う恐れもあると思います。経済振興と自然・民族文化の保全の両立は可能なのか、注目されるところです。
つまらない話になりましたが、ご静聴有難うございました。

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