3月11日例会 卓話『福井県経済の現状と今後の課題について』

『福井県経済の現状と今後の課題について』
日本銀行福井事務所 所長 小泉 達哉 氏  福井RC会員

<プログラム委員よりの紹介>
昨年5月に福岡より福井に転任されました。丸岡高校が今年度「金融教育実践校」に指定されている関係で度々丸岡の方へもお越しいただいているようです。

日本銀行といえば、黒田総裁と東京の日本橋にある辰野金吾博士が設計した重要文化材の石造りの本館建物の印象が強いかと思います。全国に支店ないし事務所を構えているイメージがあまりない方もいらっしゃいます。1946年福井事務所は開設されました。丸岡が震源になった福井地震や38豪雪時にも日銀の重要な任務の一つである日本銀行券の供給を全うしています。福井地震時は、九頭竜川にある橋が崩落した為、金沢からの現金が届かず、京都から現金を運んだ経緯があります。38豪雪の時は、電車や車が動かないということで、職員がリュックサックに詰め込んで、人海戦術で現金を供給しました。日本銀行は現金供給が最大の使命ですので、今後も不幸にも災害がございましても万全を期していきます。

並んで、各地の経済の調査も任務の一つです。金融政策については、全国の経済景気の状況を踏まえて行っています。全国32支店と12事務所で分担して調査し、それを本部に報告して政策を決定しています。

 

  • 福井県の経済について

経済の不透明感が強いですが、福井県経済のファンダメンタルズは強いです。しかし、その中にあってもいくつか問題があるのではないかという論旨で話を進めていきます。

成長率は、全国で低成長が続いている中でも福井県は、4.8%です。バブル時は5%です。一人当たり県民所得は全国第7位と高水準であります。県内企業の生産動向では電子デバイス分野が県内の経済成長・県民所得を牽引しています。繊維、眼鏡などは横ばい状態が続いています。世界成長がコンスタントに右肩上がりです。牽引役は、先進国から2000年以降は新興国に代わっていますが、世界経済が3.5%成長していることが福井県経済の中心である電子デバイス分野につながっています。産業構造では、電子デバイスが占めていますが、能力増強投資に積極的な産業と消極的な産業で、結果生産動向の違いにつながっていきます。しかし、繊維、眼鏡など地場産業についても底上げしていくことが大切です。

 

  • 中国経済について

中国の輸出入動向については、アメリカとの間で通商摩擦の影響がでております。一番直近では右肩下がりになっています。不安の要素のひとつです。個人消費については、輸出入ほどの下がりは顕著ではなく緩やかな下降です。自動車は一時不動産バブル時から政府の引き締めの影響で、また通信機器はスマホが高機能になり過ぎたり等の理由からそれぞれ売れなくなってきています。悪いところを上げればキリがないですが、全体的にみるとソフトランディングになっています。今後については、計画経済の中国ですので全人代の報道にある通り、金融面・財政面は、ソフトランディングです。IMF見通しでは、6.6%⇒6.2%の緩やかな減速になっています。ある程度ハードランディングが避けられているようです。

 

  • 今後の福井経済について

①深刻化する人手不足への対応⇒それぞれの時代で人手不足を克服してきた歴史がありますが、現在は人口が減っていく中、楽観視できません。外国人の活用については、選択肢の一つとしては考えていく必要があります。

②非製造業における利益率の向上を目指す必要があります。ITを活用するなどは重要です。設備投資については2018年度の計画では非製造業でも上がる計画です。コストアップを乗り越える合理化投資が地場産業等非製造業にも広範化していくことによって経済を押しあげていく要因ではないかと思います。

<会員感想>「福井県の経済の現状、今後の課題」を ゆっくり、はっきりとした話し方と大変わかりやすい資料で卓話いただき、勉強になりました。ありがとうございました。(文責 杉本政昭)

 

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